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無断の残業について 2013.01.30
社員が会社に無断で残業したとき、その残業に対する賃金の支払うべきでしょうか?
回答:
会社の命例がない残業は認めなくともよいが、実質的に残業命令をしていると追認されれば支払い対象になる。
(残業の命令)
残業については、業務の必要性から会社が命令して初めて残業となります。
会社は、業務命令にもとづかない業務(この場合は残業)は労働時間として取り扱う必要はありません。
実際に、終業時間後もダラダラと居残りして同僚としゃべっている時間も残業手当の対象になることは会社としては納得ができないでしょう。
ただし、使用者による業務の明示的な指示がない労働時間でも、黙示的な指示があると認められる場合には、正規の労働時間として取り扱われることになりますので注意が必要です。
(実質的には業務命令の残業であるとみなされる場合)
・上司が残業を行っていることを認識している場合
直接には残業命令をしていなくても、残業をしていることを知っていてそのままにしているならば、「残業が必要な業務状態であること」を暗に認めたことになるでしょう。
この場合、「命令していないから残業代は払わない」という理屈は通じません。
使用者が追認したのであれば、やはり残業時間が労働時間として取り扱われる可能性が高いでしょう。
労働時間の管理は使用者の義務ですから、使用者が「残業は不要である」ときちんと判断する場合には帰宅命令を行うべきです。
上司のあいまいな態度、無責任さがトラブルを招くこともあります。
以上、無断の残業についてでした。
懲戒処分について 2013.01.30
遅刻が多い社員に就業規ペナルティーを与えたいのですが、どのような手順を踏めばよいでしょうか。
回答:就業規則に懲戒処分について規定をして、そのルールに則って処分しましょう。
(懲戒処分とは)
企業の秩序と規律を維持する目的で、使用者が従業員の企業秩序違反行為に対して課す制裁罰のことで、処分の種類には戒告、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇などがあります。
懲戒処分の前提として、会社は企業秩序を守るためのルールを作る権利があり、労働者は企業に雇用されることによって、この企業秩序を遵守する義務(企業秩序遵守義務)を負うものと考えられます。
そのルールが就業規則ということになります。
(懲戒処分の種類)
・譴責・戒告
行為や過失の反省を求めて戒める処分。
始末書を提出させるものを「譴責」
始末書の提出を伴わないものを「戒告」
・減給
賃金から一定額を差し引く処分。
・出勤停止・停職
一定期間の出勤を停止し、欠勤とする処分。
数日程度でのものを「出勤停止」。
数週間から数か月となるものを「停職」。
・降格
降任等の職務上の地位を下げる処分。
降格による賃金の減額は、降格された地位による給与変更であるため減給と異なる処分。
・諭旨解雇
勧告による自主退職処分。
懲戒解雇よりも軽く退職金が減額して支払われる場合が多い。
しかし、勧告を断ると懲戒解雇処分として扱われ、退職金が支給されない。
・懲戒解雇
悪質重大な処分として解雇を行う。
退職金の全部、または大幅な減額が伴う。
懲戒処分の決定方法については、就業規則にそれぞれの懲戒処分が適用される懲戒項目を定める必要があります。つまり、〇〇をしたときはけん責、△△をしたときは減給という具合に、行動と処分の因果関係がわかるようにします。
以上懲戒処分についてでした。
資格取得費用を返還請求について 2013.01.17
会社が負担した資格取得費用を返還請求できるか?
従業員の資格取得費用を会社が負担したが、会社の期待に反して早期に退職した場合、その費用の返還請求ができるでしょうか。
回答:返還請求はできません。従業員の勤続を促すために「資格取得費用貸付制度」等の導入を検討しましょう。
(根拠)
・労働基準法第16条・・・会社は、労働契約の不履行について、違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約を結んではならない
・労働契約の不履行と違約金
ケーススタディ:
従業員が業務を遂行するために取得した資格の全費用を会社が負担して取ることとなった。
これにあたり会社は「雇い入れ1年以内に自己都合で退職する場合には、会社が負担した費用を変換すること」という特約を労働契約に追加したが、半年後に家の事情で退社した。
そこで、会社は資格取得に要した費用の返還を求めた。
上記の場合、会社が労働契約に追加した「退職する場合は費用を返還すること」という特約そのものが無効で、従業員はお金を返す必要はありません。
労働基準法第16条では、「金銭をいわゆる『足かせ』として、労働者を拘束してはならない」ということを言っています。このケースの特約は「不履行について違約金を定める契約」に該当し、従業員を不当に拘束するおそれがあるため認められないのです。
ただし、下記の場合、第16条に抵触しないとされます。
① その費用の計算が合理的な実費であること
② その金員が会社の立替金と解されるものであること
③ その金員の返済により、いつでも退職が可能であること
④ 返済にかかる約定が不当に雇用関係の継続を強制するのでないこと
(資格取得費用の貸付制度)
上記のトラブルを防ぐために、資格取得費用を「会社が負担する」のでなく、「無利子あるいは低利子で貸し付ける」という制度を導入することができます。
この場合、
①本人の自由意思に基づいて資格取得費用の借り入れを申し込む
②申込に応じて会社が費用相当額を貸し付ける(金銭消費貸借契約の締結)
③一定期間勤続することを以って、その「返済を免除する」規定を設ける
という定め方をします。
この場合は労基法第16条に抵触しません。
以上資格取得費用を返還請求についてでした。
妊娠・出産を機に解雇してもよいか 2013.01.16
妊娠・出産を機に解雇してもよいのでしょうか?
回答:妊娠をし、出産を控えた女性従業員について、解雇する事は法律で禁止されているためできません。
関 係 法 令 ... 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する法令 ■ 男女雇用機会均等法 第9条第3項
事業主が、厚生労働省令で定められている事由を理由に、女性労働者に対し不利益な取扱いをすることは禁止されています。
厚生労働省で定める事由
1.妊娠したこと
2.出産したこと
3.母性健康管理措置を求めたこと又は措置の適用を受けたこと
4.坑内業務・危険有害業務に就けないこと...又はこれらの業務に就かなかったこと
5.産休を申出たこと又は取得したこと
6.軽易業務への転換を請求したこと又は転換したこと
7.時間外労働、休日労働又は深夜業をしないことを求めたこと又はしなかったこと
8.育児時間の請求をしたこと又は取得したこと
9.妊娠又は出産に起因する症状により労働できないこと...又は能率が低下したこと
(禁止される不利益取扱いの例)
○ 解雇すること
○ 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
○ あらかじめ契約の更新回数の上限が示されている場合に、当該回数を引き下げること
○ 退職の強要や正社員からパートタイム労働者等への労働契約の変更の強要を行うこと
○ 降格させること
○ 就業環境を害すること
○ 不利益な自宅待機を命じること
○ 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと
○ 昇進・昇格の人事評価において不利益な評価を行うこと
○ 不利益な配置の変更を行うこと
○ 派遣労働者について、派遣先が当該派遣労働者に係る派遣契約の役務の提供を拒むこと
会社は上記に抵触しないように取り扱いをしましょう。
以上、妊娠・出産に関する解雇についてでした。
退職時の年次有給休暇まとめ取りは拒否できるか? 2013.01.16
会社は、退職者が残っている年休をまとめてとることを拒むことはできるのでしょうか?
回答:有給休暇取得を原則として拒否できませんので、指定に従って与えなければなりません。ただし、引継ぎ不備などの明らかな不利益があった場合、別にペナルティーを与えることは可能です。
(時季指定権・時季変更権の前提)
有給休暇については、原則として会社は社員が請求するだけの日数を与えなければなりません。これを労働者が持つ「時季指定権」といいます。
一方で、その有休取得が会社の正常な運営を妨げる場合は、有給休暇を別の日に変更する権利があります。これを会社の「時季変更権」といいます。
この時季指定権と時季変更権の内どちらの言い分が優先されるかというと、個別の有休取得案件によって異なります。
では、退職する社員について、会社は時季変更権を使うことはできるでしょうか?
時季変更権は、あくまで「ほかの時期には休暇を与えること」が前提となっています。会社を辞めた人間には、休暇を与えることはできないため、退職する社員には、時季変更権は使えないと考えられます。
本来、年次有給休暇とは
「労働者に賃金を得させながら、一定期間労働者を就労から解放することにより、継続的な労働力の提供から生ずる精神的肉体的消耗を回復させるとともに、人たるに値する社会的文化的生活を営むための維持・回復も主要な目的の一つなのです。
会社としては、辞めることが決まっている社員には労働力の維持・回復を期待する必要もなく、むしろ、残りの期間は休まず出勤して十分な引継ぎを行ってもらいたいと考えるでしょう。しかし、年次有給休暇は一定の要件を満たすことにより当然に発生する労働者の権利です。この権利を使うことを会社が一方的に制約することはできません。
(有休休暇を買い上げることができるか)
会社は原則として、社員の請求するだけの日数を与えなければなりません。
ただし、法定の休暇日数を上回る部分があるとすれば、その部分については就業規則などの規定にもとづいて、買い上げるなどの方法をとることが可能です。
たとえば、労働基準法で定める最低に日数が10日の者に対して、15日が付与されているような場合には、5日分を買い上げの対象とすることができるのです。
以上、退職時の有給休暇についてでした。
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