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介護休業制度 2015.06.18
家族を介護する必要がある場合、介護のための休業を取ることができます。この「介護休業制度」について解説します。
介護休業制度とは
労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。 2回目の介護休業ができるのは、要介護状態から回復した対象家族が、再び要介護状態に至った場合です。3回目以降も同様です。
介護休業の対象者
要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者です。日々雇用される者は対象になりません。
対象家族と介護の状態の定義
※要介護状態:負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のこと。
※対象家族:配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫。
しかし、法改正により、休業の取得によって
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であり、
(2) 介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用
されることが見込まれる(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
上記2つを満たす一定の範囲の期間雇用者(いわゆる契約社員)も介護休業がとれるようになりました。
介護休業にかかる給付
介護休業を取得する雇用保険被保険者について、一定の要件を満たすことで「介護休業給付」が受け取れることがあります。
育児休業について 2015.06.17
■育児休業制度
労働者は、会社に申し出ることにより、子が1歳になるまでの間、育児休業をすることができます。育児休業は法律で権利を認められたものであるため、企業側は「ウチの会社には育児休業制度はない」ということができません。
育児休業の対象者
育児休業の対象者は、原則として1歳に満たない子を養育する男女の労働者です。日々雇用される方は対象になりません(男性も育児休業をとることができます)。今までは正規の社員が主な対象者でしたが、法改正により、休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者も、育児休業がとれるようになりました。
※1.一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において、次の(1)、(2)すべてに該当する労働者です。
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
(2) 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
育児休業は原則として子が1歳になるまでですが、次の事情がある場合は1歳6か月まで育児休業ができます。
(1) 保育所に入所を希望しているが、入所できない場合
(2) 子を養育する配偶者で、1歳以降も子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等の事情により養育が困難となった場合。
育児休業中の給与
育児休業中は働いていないため、給与を支払う必要はありません。休業期間中については雇用保険から一定の要件のもと給付金が支給されます。
■申請時期など
○1歳までの育児休業については、休業開始予定日から希望通り休業するには、その1か月前までに申し出ます。その際、対象の子の氏名、生年月日、労働者との続柄、休業開始予定日及び休業終了予定日を明らかにします。
○ 1歳~1歳6か月までの育児休業については、休業開始予定日(1歳の誕生日)から希望通り休業するには、その2週間前までに申し出ます。
遅刻に対して時間相当分以上の賃金をカットしてもよいか? 2015.06.10
遅刻をした社員に対し、ペナルティとしてその分の賃金を給料からカットすることは多くの企業で行われていますが、実際どの程度までの給与カットなら法的に認められているのでしょうか。
1.ノーワーク・ノーペイの原則
賃金請求権については、民法に「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」という定めがあり、労務の提供がない(不就労の)場合には賃金請求権も発生しないこととしています。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。
遅刻や早退だけでなく、「働かない時間」のパターンは多岐にわたるため、控除をする場合には、控除する賃金の範囲や時間、回数の単位などを就業規則等において詳細に定めておく必要があります。
いずれにせよ、まず「働かない時間について給与を支払わないこと」は問題ありません。
それ以上の給与カットをする上では、以下の法的制限があります。
2.労基法91条「制裁規定の制限」
「減給の制裁」とは、遅刻等の服務規律に違反したことへの制裁として、ペナルティとして本来支給すべき賃金の一部を控除することを指します。このペナルティについて、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。
つまり、働かない時間分の給与カットを超えてカットを行うのであれば、その部分については減給の制裁に該当し、制裁の制限に抵触しない範囲で就業規則等に規定化し、その規定に基づいて控除を行うことが必要となります。
なお、遅刻、早退が目立つ会社では、精皆勤手当等を設け、勤怠と給与との関連性を持たせたり、賞与の考課項目の一つとして勤怠評価を取り入れるなどの管理方法も有効かもしれません。
会社が負担した外部研修などの費用を、その社員が退職することを理由に返還させることは可能か? 2015.06.05
研修費用(資格取得費用や、留学などの費用)を会社が負担した社員が、業績などで会社に貢献する前に自己都合で退職した場合、会社側としてはその費用を返還してほしいところです。この返還請求の法的な正当性は、研修費用の定義によって異なります。
(1)「研修など受講後○年以内に辞めた場合は返還せよ」は違法
この場合は労働基準法における強制労働に該当するというのが一般的な見解です。この定義によると、定められた期間は自由に辞めにくいため、結果的には強制労働を強いているに等しいということになってしまうわけです。
(2)・研修への参加は自由意志(不参加を不利益取り扱いしない)
・研修費用は本人の希望に基づき受講費用を貸し付ける制度がある
・研修終了後、一定期間勤務によって返済を免除(あるいは返済額相当を給与に上乗せ)
とした場合は概ね合法
この場合、当事者の自由な意思により「研修費用の貸し借りをした」に過ぎないため、不当に社員を拘束するものではないとされます。
ポイントは、「研修への参加並びに受講費用の借受けに自由意思があること」です。
研修費用の貸付についてはきちんと契約書を取り交わすなどの書類整備も必要でしょう。「参加自由の研修について本人が希望して受講した」「研修費用を貸し付ける社内制度があるが、それを借りるかどうかは本人の自由」という仕組みであることがわかるような書類の整備を専門家に意見を聞きながら進めてください。
自己都合退職の撤回について 2015.05.29
自己都合での退職を申し出た社員が後になって「やはり退職したくない」と退職の撤回を求めた場合、会社はそれに応じなければならないのでしょうか。
「一方的な解約の宣言」なのか「合意解約を申し入れた」のか
退職願の提出について、その提出が「会社の合意なんて関係ない。一方的に期日を指定して辞める」という意思があるならば、原則として撤回に応じる必要はないとされています。一方で「○月○日に辞めたいのだが、認めてくれますか?」という伺いをたてる趣旨であるならば、会社側が退職を承認する前であれば撤回ができると考えられます。別の言い方をすると「合意解約の申し入れ」の場合であっても、会社が承諾したあとの撤回はできないとみなされます。
判断に迷う時はどうすればよいか
では、「一方的な解約の宣言」と「合意解約を申し入れた」のどちらであるかの判断については慎重に行う必要があります。
一般的に「退職届」=一方的な解約の宣言、「退職願」=合意解約の申し入れと見なされると言われていますが、実際に退職を巡ってトラブルになるときは状況を総合的にみて判断されるでしょう。例えば形式上退職届となっていても、「退職させてくれませんか?」とお願いするニュアンスを口頭で伝えていた場合、本人は相手の合意をもらうつもりであったと解釈されるかもしれません。
退職の撤回を巡ってのトラブルを未然に防ぐためには、①本人の意思確認を正確に行うこと②会社の意思を明確に示すことに尽きます。
後から撤回されたくない退職の場合、退職願について承諾したことを客観的資料(書面やメールなど)で残しておくなどの対策が有効でしょう。
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