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派遣社員が仕事中にけがをした場合の派遣先会社(受け入れ会社)の対処法 2013.11.19
派遣社員の労災は、「派遣元会社」が適用されます。
派遣社員が仕事中にケガをしたり、仕事が原因で病気になってしまったりした場合には、派遣会社の労災保険を使うことになるので、労災の給付関係申請は派遣元会社に任せてください。
ただし、実際に派遣社員が安全・健康に働くことができるように配慮するのは、現場を監督している「派遣先会社」の責任であることに注意が必要です。
派遣先会社の責任としては以下のようなことがあります。
1、労働基準監督署へ労災の報告義務
派遣社員が労災に遭った際は、正規の従業員と同じように、労働基準監督署へ労災が起きた旨を報告しなくてはいけません。とくに4日以上の休業を伴う労災の場合は、死傷病報告書という様式の届け出を速やかに行ってください。
2、労働基準監督署の立ち入り調査対応義務
労災が発生すると、労働基準監督署が状況確認のために会社へ立ち入り調査を行うことがあります。これは、安全配慮義務違反がないかを調査される趣旨のもので、とくに大きな労災事故が発生した場合に行われます。
労災の報告義務に違反すると「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」ということもあります。派遣受け入れ会社としては、悪気なく労災報告を忘れてしまうこともあるようです。現場での安全配慮義務、ならびに労災の報告義務は派遣先会社にあることを十分認識してください。
社員の副業を禁止してよいか 2013.11.08
副業については、法律の制限はありません。つまり会社が許可すれば社員が副業を行うことはできます。しかし、社員は労働、つまり働くことの対価として給与を受け取っていますので、対価にふさわしい労働力を提供する義務があります。
その意味で、副業の疲れなどにより本来期待する労働力が提供されないような場合、会社はその副業を禁止することができます。
副業を禁止する場合、就業規則の服務規定にその旨の文言を明記しましょう。服務規定に入れておくべき内容は例えば以下の通りです。
・健康に留意して、良い心身状態で勤務するように努めること
・会社の許可なく他社の役員、従業員又は個人事業主となり、営利を目的とする業務を行わないこと
・会社の許可なくアルバイトなどをしないこと。ここでいうアルバイトとは、営業上の技術を使用して個人的に報酬を得る行為を含む
就業規則上で、許可のない副業を禁ずるよう規定し、許可を求められた場合はその副業が
① 疲労などにより本来業務に支障を与える程度
② 本人の家庭事情
③ 副業の内容が会社になんらかの不利益を与える可能性(情報漏えい、コンプライアンス的観点など)
以下の視点で見て許可に問題ないかを審査検討するとよいでしょう。
ペナルティーについて:
副業が発覚した場合、懲戒処分を行うかについては、次のような項目を総合的に判断して行う必要があります。
① 副業を行うことで、本来業務にどのくらいの影響が出ているか
② 競業他社での副業かどうか
③ 副業により、自社の秘密漏漏洩の危険性があるか
ただし、アルバイト等副業行為とあまりに釣り合わないペナルティーをしないように注意する必要があります。懲戒解雇が有効となるような副業行為は、背任的に自社のノウハウを漏えいさせている場合や、競業行為を意図的に行うような悪質なものに限られるでしょう。
なお、副業を許可制や禁止にしている場合でも、パートや短時間勤務者について、別段の配慮が必要となります。これらの社員は、その雇用形態上、他社との「掛け持ち」を想定しているケースもあります。正社員の副業とは違った基準で、ある程度副業を認めてあげる配慮が必要でしょう。
産前産後休業の解説 2013.10.29
(産前産後の休業について)
産前産後の労働は、労働基準法で制限されています。
出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は出産予定の女性社員が休業を請求してきた場合、就業させることは出来ません。しかし、女性が希望した場合には働かせることが出来ます。
出産後8週間、原則は社員からの請求の有無にかかわらず、働かせてはいけません。
しかし、出産後7~8週間に関しては、女性本人が請求した場合であって、医師が支障がないと認めた業務については、働かせることが出来ます。
これらの規定は、主に母体保護の観点から定められています。
(休業中の賃金について)
産前産後の休業中に関しても「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、給与の支払い義務はありません。しかし、強制的な休業にも関わらず、無給というのでは安心して出産することが出来ません。
(健康保険からの給付について)
そのために、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために、健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。
※標準報酬日額=標準報酬月額÷30日
また、出産・育児には多額の費用がかかるため、出産費用を行政などが負担してくれる制度があります。これを、出産一時金と言います。1児につき42万円が支給され、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されます。双生児の場合は、2人分が支給されることになります。
出産一時金は、病院窓口で支払うときに行政などの負担部分を差し引いて支払うのが原則ですが、病院によってはいったん従業員が全額負担し、後から負担分を受け取る場合もあります。出産予定の際には、病院がどちらの制度をとっているか、確認してもらうようにしましょう。
感染症にかかった社員の自宅待機中、給与を支払わなければならないか 2013.10.28
感染症に罹患した労働者等が無理をして出勤をすると、周りの人に伝染させてしまう恐れがあるため、労働安全衛生法、感染症法等により出勤を禁止する義務が定められています。
この自宅待機を命じた場合の賃金について、場合によっては60%の給与保障(いわゆる休業手当)が必要となります。休業手当の支給の有無については「使用者の責に帰する事由」であるか否かによって判断されます。
◆休業手当の支払い義務がない場合
・感染症にかかっているかどうか不明な時点で、何らかの症状があるため、社員自ら休む場合
・医師や保健所の指導により、社員が休業する場合
・家族が感染症に感染している社員について、濃厚接触者であることにより、保健所による協力要請等にも基づき、社員を休業させる場合
◆休業手当の支払い義務がある場合
・医師や、保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合。(外出自粛期間後等)
・医師や保健所からの協力要請がない段階で、使用者の自主的判断で休業させる場合
上記のように、医師や保健所の指導の範囲で休場させる場合には、「使用者の責に帰する事由」ではありませんので、休業手当の支払いは不要です。
しかし、家族が感染し(かつ労働者本人が感染していない)場合に、保健所の指導が速やかに行われるとは限りません。このような場合には、会社独自の自主的な判断が必要になります。
無難な判断は「休業手当を支払う」か「有給休暇として取り扱う」ですが、感染症の種類によっても取り扱いが異なるでしょう。
社労士等専門家にあらかじめ尋ねた上で適宜判断をして下さい。
労基署の臨検で法令違反が発覚したときに起こること 2013.10.22
調査の結果、違反などがあった場合、労働基準監督官は会社に対して、それを是正するように指導します。即刻改めるべきものもありますし、数か月猶予をもって正すようにと言われるものもあります。
何かしらの法令違反があった場合、具体的には下記の3つの書面を渡されます。
- 是正勧告書
労働基準法等の違反が見つかった場合、その違反事項を正すように指導する書面
是正勧告書を受けたということは、労働基準法などの違反があったという証拠です。
違反した項目、是正期日が書かれているもので、正式に法違反を証明されたものと言えます。
必ず指定された日付までに違反していた項目を正して、是正した状況を労働基準監督署へ報告しましょう。報告は「是正報告書」という様式を用いますが、必要な内容(タイトル、管轄監督署長宛である旨、日付、社名・代表者名と代表社印、各是正勧告内容と、各是正日、是正内容等)が記載されていれば任意様式でも大丈夫です。
その是正報告書に是正内容がわかる確認資料を添付して提出してください。
- 指導票
法違反には該当しないけれど改善した方が好ましい事項に対して、改善を指示する書面です。例えば、有給休暇の管理内容が十分でない場合などが指導対象にあたります。
- 使用停止等命令書
施設や設備の不備や不具合で、従業員に緊迫した危険が生じてしまうため、その施設や設備を緊急に使用停止などするようにと命令する書面です。
是正勧告書を無視したり、提出したけれど是正した振りをする「嘘」の報告をすると、最悪の場合書類送検されてしまうこともあります。指導されたことに対しては誠実に対応しましょう。
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