労務コラム

失業保険と老齢年金について   2012.10.29

65歳未満で退職した人は、失業保険と老齢年金の両方がもらえるのでしょうか。

 

 

失業保険は、退職日以前に2年間に被保険者期間が12ヶ月以上(解雇・倒産などは1年間に6カ月以上)ある人が、ハローワークに離職票を提出し「求職の申し込み」をしてもらいます。

 

【失業保険の受取り額計算例】

 

月額36万円、受給日数150日の場合

(最後の6ヶ月の月額給与の合計)÷180  =12,000・・・賃金日額(最低限度、最高限度あり)

賃金日額×45%=5,400円・・・基本手当日額(給付日額1日あたり)

給料に応じて賃金日額の45~80% 給料が高いほど基本手当額は低い。

 

失業保険のトータル 5,400円×150日=810,000円

1ヶ月あたりの失業保険 5,400円×30日=162,000円

 

基本手当日額は、給付日数1日あたりの金額です。

給付日数を掛けた額の失業保険をもらうことができます。

日数は、退職日の年齢と勤続年数によってきまります。

 

 

【失業保険の申し込みで老齢厚生年金の支給が止まる】

 

60歳~64歳で老齢年金(特別支給の老齢年金)を受け取っている人は、失業保険(基本手当)と両方を受け取ることはできません。

どちらかを選択することとなります。

 

具体的には離職票をハローワークに持参して失業保険の申し込みをすると、翌日から特別支給の老齢厚生年金の支払が停止され、その後失業保険の受給が終了した月まで停止されます。

支給停止されるのは、基本手当をもらっている期間だけで傷病手当などもらっても支給停止されません。

 

厚生年金基金に加入している人は、支給が停止されるかどうかは厚生年金基金それぞれの規約によります。

 

【失業保険をもらわなかった月は老齢年金を受給できる】

 

離職票を提出し、年金の支給が停止された場合でも、失業保険を1日ももらわなかった月は年金を受け取ることができます。

この分は3カ月後に支給されます。

 

また、離職票を提出し申し込みをしてもすぐには失業保険をもらえない期間があります。

これらの期間は、いったん年金の支給が停止されますが、他の失業保険をもらわなかった日とトータルして、後で精算され、支給されます。

 

以上、失業保険と老齢年金についてでした。

 

国民年金の免除について   2012.10.25

国民年金には、保険料を支払うのが困難な人のために届出や申請をして保険料が免除される制度があります。

免除制度とはどのような制度でしょうか?

 

 

【国民年金の免除制度】

この制度は自営業者や無職、フリーターなどの第一号被保険者にのみ適用されます。

 

免除制度は加入期間として計算されるだけでなく、保険料の一部を払ったことにしてくれる制度で保険料の免除には法定免除と申請免除があります。

 

①    法定免除

届出することにより、保険料が全額免除されます。

対象者は生活保護法の生活扶助を受けている人

障害年金(1,2級)をもらっている人。

 

②    申請免除

申請し認められることにより、保険料の全額または一部を免除されます。

対象者は生活保護法の生活扶助以外の扶助を受けている人

障害者または寡婦(未亡人)で所得が125万円以下の人

経済的な事情で保険料の支払いが困難な人

 

・収入は世帯全体でみる

経済的な事情の場合は所得制限があります。

所得制限は本人だけでなく配偶者や世帯主も見て判断し、このうち誰か一人でも所得が多い場合は免除は受けられません。ただし、失業した場合は特例があり、本人の所得を除外して、配偶者・世帯主の所得だけで判断されます。 

また、震災や火災などによって財産のおおむね2分の1以上の損害を受けた場合も同様の特例があります。(損害保険を受けた分は除く)

 

その他にも学生納付特例、若年者納付猶予制度などさまざまケースで免除が受けられます。

 

これらの申請は住民登録をしている市区町村の国民年金窓口で行えます。

手続きは郵送でも出来ます。

 

以上、国民年金の免除についてでした。

国民年金の被保険者の種類について   2012.10.25

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のひとは

国籍に関係なく全員国民年金に加入することになっています。(強制加入)

国民年金の被保険者にはどんな種類があるのでしょうか。

 

 

【年金の仕組み】

加入者は第1号から第3号の3つに種別され、それぞれ保険料やもらう年金の種類が異なります。

 

 

・第一号被保険者 

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人で第2号、第3号被保険者に該当しないはすべての人。

(自営業者やその配偶者、学生農林漁業者、国会議員、フリーター、無職の人) 

保険料は直接社会保険庁にはらいます。(手続きは各市区町村)

貰える年金は国民年金のみです。

 

 

・第二号被保険者 

厚生年金または共済年金に加入している人。

(サラリーマンやOL、公務員、私立学校の教職員) 

保険料は毎月給与から天引きされる厚生年金保険料に含まれています。

貰いえる年金は国民年金+厚生年金(共済年金)です。

 

 

・第三号被保険者 

被保険者に扶養されている配偶者で20歳以上60歳未満の人が該当。

(サラリーマンの妻専業主婦もしくは夫専業主夫

保険料はタダです。配偶者の保険料に上乗せされているわけではなく、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が負担するので自分で保険料を納める必要がありません。

貰える年金は第三号扶養者であった期間分です。

 

第三号被保険者の要件

第三被保険者とは「第二号被保険者に扶養されている配偶者」で被扶養配偶者といいます。被扶養配偶者と認められるには第二被保険者(配偶者)の収入で生活をし、

年収が130万円未満であるとう条件があります。

なお、ここでいう配偶者には事実婚(内縁)も含まれます。事実婚が認められるには住民票などの事実婚関係を証明する書類が必要となります。

 

以上、国民年金の被保険者の種類についてでした。

高齢者雇用安定法の改正について   2012.10.17

2013年4月より、高齢者雇用安定法が改正されます。その内容とはどのようなものでしょうか。

 

【高年齢者雇用安定法に関する改正:平成25年4月1日施行】

改正高齢法のポイントは以下の通りです。

  1. 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

今までは次の様に定まっていました。

 

①原則は定年60歳でもよい

(定年を65歳、70歳に引き上げる、また定年そのものを廃止してもよい)が

②65歳まで継続雇用をする道を残さなければならない

③②により継続雇用をされるかどうかについては、労使で基準を設けてよい

 

この③が改正となり、原則として希望者は全員継続雇用をしなければならないとなりました。但し、激変緩和のために、以下の経過措置があります。

・平成25年4月1日~28年3月31日 61歳以上なら基準設けてもよい
・平成28年4月1日~31年3月31日 62歳以上なら基準設けてもよい

・平成31年4月1日~34年3月31日 63歳以上なら基準設けてもよい

・平成34年4月1日~37年3月31日 64歳以上なら基準設けてもよい

平成37年4月1日以降は、希望者全員を65歳まで継続雇用することが必要となります。

  1. 継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲拡大

継続雇用制度には定年を迎えた自社の社員を関係グループ企業等 (=特殊関係事業主) で引き続き雇用する契約を結ぶ措置も含まれることになります。つまり、関連会社での継続雇用でもよいとされます。

  1. 義務違反の企業に対する企業名公表の規定

上記の高齢者雇用措置に違反している場合、厚生労働大臣が助言指導及び勧告をすることがあり、この勧告に従わない企業について、大臣がその旨を公表することができることになり、企業名が公表されるという社会的制裁措置規程が設けられます。

 

以上、高齢者雇用安定法の改正についてでした。

労働者派遣法改正について   2012.10.17

平成24年10月1日からの労働者派遣法改正について

 

平成24年10月1日から労働者派遣法が改正となります。どのような改正なのでしょうか。

 

【労働者派遣法に関する改正:平成24年10月1日施行】

改正の概要は以下の通りです。

 

・日雇い派遣の一部禁止

日雇い派遣(雇用契約が30日以内の派遣)の一部が禁止されます。

 

・グループ企業内派遣は8割までに規制

派遣会社と同じグループ企業への派遣は、派遣会社の全派遣スタッフの総労働時間の8割までしか認められなくなります。

 

・1年以内に辞めた人を派遣で受入れることの禁止

会社を辞めてから1年経過していない人を、派遣スタッフとして受け入れることが禁止されます。本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者に置き換えることで、労働条件が下げられないためのものです。

 

・マージン率の公開と派遣料金の明示

労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率、派遣料金や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化されます。

その他、正規雇用労働者との均等待遇や派遣労働医者への説明義務などが定められました。

 

主に派遣労働者の待遇改善と派遣契約内容の透明化を進めるための改正と言えるでしょう。

以上、労働者派遣法の改正についてでした。

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