労務コラム

最低賃金について   2012.10.17

平成24年度最低賃金改正について

 

平成24年度の最低賃金改定が発表されました。

都道府県ごとの最低賃金はどのように改正されたのでしょうか。また、最低賃金の制度とはそもそもどんなものでしょうか。

 

(最低賃金制度とは)

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、会社は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、会社双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

 

例えば、「有名な漫画家の〇〇先生のアシスタントをさせてもらえるなら、給料は時給100円でいいです。」と双方で合意していたとしても、その約束は無効=効力がないため、少なくとも最低賃金以上を支払わなければならないことになります。

 

(新しい最低賃金)

各都道府県の平成24年度地域別最低賃金額の例は以下の通りです。

( )内は平成23年度額

都道府県

最低賃金額

発効年月日

東京

850円(837円)

平成24年10月1日

神奈川

849円(836円)

平成24年10月1日

大阪

800円(786円)

平成24年9月30日

兵庫

749円(739円)

平成24年10月1日

奈良

699円(693円)

平成24年10月6日

千葉

756円(748円)

平成24年10月1日

参考URL:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

 

(給与締切日の途中で最低賃金が改定された場合の給与計算処理上の注意点)

給与締切日の途中で最低賃金が改定された場合、「最低賃金改定の発行年月日」以降の賃金計算は新しい最低賃金によらなければなりません。

つまり、従前の賃金が最低賃金ギリギリだった場合は、10月1日以降については賃金額を変更しなければならないことになります。

 

例:毎月15日締めの会社 東京都 時給837円で雇用していた場合の、9月16日~10月15日の給与計算

①9月16日~9月30日 … 時給837円で計算

②10月1日~10月15日 … 時給850円で計算

 

(最低賃金法違反による罰則)

最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

 

以上、最低賃金についてでした。

 

障害者の法定雇用率引き上げについて   2012.10.17

企業は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。(障害者雇用率制度)

この法定雇用率が、平成25年4月1日から以下のように変わります。

 

今回は、障害者の法定雇用率引き上げについて説明します。

 

【法定雇用率】

・民間企業        現行 1.8%→平成25年4月1日以降 2.0%

・国、地方公共団体等   現行 2.1%→平成25年4月1日以降 2.3%

・都道府県等の教育委員会 現行 2.0%→平成25年4月1日以降 2.2%

 

【障害者雇用率制度とは】

「害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています。

(精神障害者について雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。

 

この法律では、法定雇用率は「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めるとしています。

今回の法定雇用率の変更は、同法の規定に基づくものです。

 

わかり易く言うと、民間企業の場合、全従業員の内2%は障害者を雇用しなければならないということです。

 

ご注意

従業員50人以上56人未満の事業主のみなさまは特にご注意ください。

今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が、従業員56人以上から50人以上に変わります。

また、その事業主には、以下の義務があります。

・毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。

・障害者雇用推進者を選任するよう努めなければなりません。

 

以上障害者の法定雇用率引き上げについてでした。

 

育児休業中の保険料免除について   2012.10.17

育児休業中の保険料免除について

【育児休業中の社会保険料】

育児休業をとったときは、無給であったり休業前の収入よりダウンしたりするのが一般的です。

その上、健康保険や厚生年金の支払いが必要になると、経済的な負担が大きくなります。

このような場合、申請をすれば、育児休業中の健康保険や厚生年金の支払いを全額免除されます。

 

ポイントとしては、保険料の免除は従業員だけではなく、負担分も免除されることです。

この手続きをすれば、保険料免除中でも保険料を払っているものとみなされますので、保険証を使って診察を受けることができ、将来受け取る年金の給付額が減額されることもありません。

会社としても社会保険料負担なく社会保険資格を継続できますので、必ず提出してください。

 

 なお、この申請は従業員が行うのではなく、会社が行います。

年金事務所にて育児休業中保険料免除のための申請書を入手して手続きをしてください。

 

【保険料が免除される期間】

育児休業の開始日(出産の翌日から数えて57日目)の属する月から、育児休業の終了日の翌日が属する月の前日までです。

育児休業が長期間に渡った場合、最長で育児休業の対象となる子の満3歳の誕生日が属する月の前月までが免除の対象となります。

 

 

【育児休業期間を延長するときは】

育児休業期間を延長する場合は、延長の届出を行うことができます。

 

 

【その他の注意事項】

育児休業は、男性にも取得が認められていますので、男性加入者も対象となります。

この届出をしない場合は、社会保険料は免除されませんので、届出忘れのないように注意が必要です。

 

【必要書類】

・母子手帳(写)

 

社会保険の制度は育児についてそのサポートが手厚くなっています。

保険料免除については是非漏らさずご活用ください。

 

以上育児休業中の保険料免除についてでした。

休日と休暇の違いについて   2012.09.28

休日と休暇、どちらも「働かない日」という点では共通していますが、法律上ど
のような違いがあるのでしょうか。



【休日の定義】

休日とは、就業規則等においてあらかじめ「労働義務がない日」と定められてい
る日のことを指します。つまり、非労働日です。非労働日ですので、所定労働時
間(〇時間働くという時間)が決められていません。

休日については

・週1日

・または4週に4日

という最低ラインが定められています。



【休暇の定義】

休暇とは、労働義務のある労働日について「労働義務の免除」を労働者側の申し
出(意思表示)等によって得た日を指します。この場合、休日と違い「所定労働
時間」があることが前提となります。

この休暇を労働者がとることができる法的根拠については、法律の定めによって
発生する法定休暇と、就業規則等の定めによって発生するその会社独自の会社休
暇の二種類があります。

①法定休暇(法律で与えないといけないとなっているもの)

・年次有給休暇(いわゆる有休)

・産前・産後休暇(いわゆる産休)

・生理休暇

・看護休暇(子どもの傷病等の世話)



②会社休暇(会社独自の休暇)

・慶弔休暇

・病気休暇

・特別休暇

・リフレッシュ休暇等



法定の休暇については、労働者の意思表示によって休暇が成立するという厳格さ
がありますので、原則として会社はその休暇取得を拒むことができません(有給
については「時季を変えてくれという権利≒時季変更権」がある)。

一方で会社休暇については、会社独自のルールによって与えても差し支えありま
せん。例えば、繁忙を理由にリフレッシュ休暇を承認しないことがあるという
ルールを定めてもいいということです。



休日と休暇、さらに休暇の中でも法定休暇と会社休暇について、会社は区別して
取り扱うことでトラブルを防ぎましょう。

以上、休日と休暇の違いについてでした。

休憩の自由利用の原則と例外について   2012.09.28

休憩時間とは、「労働しなくてもよい時間帯」を指しますが、実際には電話番や
その他の仕事をお願いせざるをえないことがあります。

休憩を自由に利用することの原則と例外について説明します。



【休憩の自由利用の原則とは】

休憩の自由利用の考え方は、労働基準法に「使用者は、休憩時間を自由に利用さ
せなければならない」と規定されていることに依ります。

自由利用の原則を法律上明確にしたのは、かつて戦時中の就業規則に、休憩時間
中、指揮者の定めるところに従い体操を行うべしと規定する者が多かったことな
どの事情があったそうです。

したがって、休憩時間中に職場体操を義務付けたり、来客の対応のために居残
り・待機を強制させることはこの自由利用の原則に違反することになります。



【自由利用はどこまで許すべきか】

ただ、自由利用とはいえ拘束時間の間にありますので、会社の秩序を乱すような
こと、職場の安全を脅かすようなことまでを許す必要はありません。

休憩は、本来次の労働再開に備えて休息を取る目的のものですから、そのあとの
労働が出来ないような飲酒等を規制することはむしろ当然のことでしょう。



【自由利用の例外】

一定の職種には、自由利用の例外があります。

・警察官、消防官、乳児院、養護施設その他施設に勤務し児童と起居を共にする
もの等



【昼休みに電話当番を命じてもよいか】

原則としては自由利用の原則に反するのでダメということになります。その時間
は労働時間となります。

ただし、その頻度が多くなく、ほとんど負荷のかからない電話番であれば、労使
で話し合ってお願いする、場合によっては少し手当を支給して納得してもらうな
ど、柔軟な対応をすることが得策でしょう。



以上休憩の自由利用の原則と例外についてでした。

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