労務コラム

出産・育児にかかる給付金について   2012.09.04

社員の方がご出産される場合、国からどのような給付金が出るのでしょうか。



【健康保険】※協会けんぽの場合

① 出産育児一時金
この給付はいわゆる分娩費用として、出産時に一括で支給されます。金額は42万
円で、産婦人科の窓口で本人が手続きをします。この出産育児一時金は、妊娠85
日以上の出産に適用され、死産の場合等でも支給されます。また、当該出産した
方が社会保険に加入している場合も、配偶者の扶養に入っている場合も支給され
ます。

② 出産手当金
この給付は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日
目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの期間のう
ち「休んでいて且つ給与支払いがない場合」に支給されます。

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金額は、出産した方の
標準報酬月額÷30日×2/3 × 休業日数
という計算式により計算されます。
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たとえば、標準報酬月額20万円で、98日休んだ場合は
20万円÷30日×2/3×98=435,120円
が支給されます。



【雇用保険】

出産した方が過去2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していた場合、雇用保険か
ら「育児休業基本給付金」が支給されます。これは、「原則として子が1歳にな
るまでの期間」で、且つ「休業しており、給与支払いがない場合」に支給され、
その金額は以下の計算式にて求められます。

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産前休暇前6ヶ月の平均給与月額×1/2×休業日数
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たとえば、休業前の平均給与月額が20万円、子が1歳まで全て休業した場合
20万円×1/2×約10ヶ月=約100万円
が支給されます。実際の申請は2ヶ月に1回、管轄のハローワークに行います。

これらの給付の恩恵があることを考えると、安易に寿退社をするともったいない
ということがわかります。
以上、出産・育児にかかる給付金についてでした。

高額療養費制度について   2012.09.04

入院などで医療費が高額になった場合、健康保険制度から給付があります。

(高額療養費制度とは)
 重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自
己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金
額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

(自己負担限度額)
自己負担限度額の計算方法は以下の通りです。

(一般の被保険者の場合)
80,100 円+(総医療費-267,000 円)×1%

例:総医療費が100万円、自己負担額30万円の場合
80,100円+(100万円-267,000円)×1%
=87,430円
30万円-87,430=212,570円が高額療養費として支給

(上位所得者の場合:標準報酬月額が53万円以上の者)
150,000 円+(総医療費-500,000 円)×1%
例:総医療費が100万円、自己負担額30万円の場合
150,000 円+(100万円-500,000 円)×1%
=155,000円
30万円-155,000=145,000円が高額療養費として支給

(自己負担額に算入できるもの)
・	保険適用される診療に対し、患者が支払った自己負担額が対象となります。
(自己負担額に算入できないもの)
・	差額ベッド代
・	病衣代
・	食費
・	先進医療にかかる費用等

(いつ申請するか)
高額療養費の計算単位は暦月ですので、一ヶ月ごとに自己負担額を計算し、前述
の基準額を超えるようであればその月ごとに申請することができます。また、こ
の高額療養費の請求時効は2年ですので、過去のものを数ヶ月分まとめて申請す
ることも可能です。
一方、長期入院などであらかじめ医療費自己負担が高額になることがわかってい
る場合、「健康保険限度額適用認定申請書」という書類を事前に出すことで、高
額療養費基準額以上の窓口負担がないようにすることもできます。

以上高額療養費制度についてでした。

従業員の健康診断について   2012.09.04

会社は従業員さんの健康にも配慮しなければなりません。自らの健康を測るため
の健康診断について、法律ではどのように決まっているのでしょうか。

(労働安全衛生法上の健康診断)
労働安全衛生法という法律では、以下の健康診断を実施することが義務付けられ
ています。

1、雇入れ時の健康診断
従業員を雇い入れる際、健康診断を受診させなければなりません。ただし、従業
員が入社日前3ヶ月以内に健康診断を受診している場合、その受診結果を証明す
る書面を提出すれば、当該項目については省略することができます。

2、定期健康診断
1年に1回、定期に健康診断を受診させなければなりません。この場合の健康診
断は原則として会社の負担で行わなければなりません。この健康診断は、従業員
の一般的な健康維持増進を目的にしているため、当該健康診断中の賃金支払いは
義務でなく、労使の話し合いに委ねられています。
必要な受診項目は以下の通りです。
① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力
をいう。)の検査
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 血色素量及び赤血球数の検査(貧血検査)
⑦ 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清
グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミル
トランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(肝機能検査)
⑧ 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白
コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査
(血中脂質検査)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(尿検査)
⑪ 心電図検査


3、特定業務(深夜業など)を含む勤務をしている従業員の健康診断
労働者が深夜業を含む勤務形態、又は坑内や著しい寒冷地や暑熱地で働いている
場合など特定の業務形態の場合は、その業務への配置換えの際、ならびに6ヵ月
に1回の頻度で健康診断を受けさせなければなりません。
この場合、前述の定期健康診断と違い、業務遂行のために特殊な環境下での労働
を求めている以上、その費用を会社が負担するのはもちろんのこと、健康診断中
の賃金も会社が負担するべきとされています。

4、有機溶剤や石綿などを取り扱う有害業務従事者に対する特殊健康診断
有機溶剤や石綿など特定の化学物質等を取り扱う業務に従事する労働者にはそれ
ぞれ特殊な項目による特殊健康診断を受診させなければなりません。この健康診
断についても、特定業務の健康診断と同様に会社費用負担、ならびに受診中の賃
金支払いが必要です。

以上、健康診断についてでした。

社会保険加入について   2012.07.25

社会保険といえば、通常は「健康保険」と「厚生年金保険」の総称として使われ
ます。

この社会保険、どのような会社が加入しなければならないのでしょうか。

以下、加入条件について説明します。



【原則】

①法人の企業で、常時従業員を雇っている会社は強制加入

たとえ社長1人の会社でも強制加入となります。



②個人事業で、常時5人以上の従業員を雇っている会社は強制加入





【例外】

③個人事業で、常時5人未満の従業員を雇っている会社は強制加入ではないが、
加入したければ任意に加入もできる



④個人事業の内、第一次産業(農業、水産、畜産業)、接客娯楽業(旅館、料理
店、飲食店、理容業等)、法務業(弁護士、税理士等)、宗教業は従業員数に関
わらず強制加入ではないが、加入したければ任意に加入できる



保険制度である以上、加入者が多いほうが制度維持のためになるので、従業員5
人以上の個人事業又は法人は強制適用となっています。

一方で、個人事業の内、上記の一部業種においては、社会保険は任意適用となっ
ています。



【強制加入になのに加入していない場合はどうなるか】

日本年金機構による適用促進調査などにより、強制的に加入(場合によっては適
用時に遡って加入)となる場合があります。

平成24年度現在、日本年金機構によるこの適用促進が厳格化している傾向があ
ります。



以上社会保険加入についてでした。

年次有給休暇について①   2012.07.25

年次有給休暇、いわゆる有休は、どのようなルールで与えなければならないんの
でしょうか。

【原則】
①入社日から数えて6ヵ月間に、全所定労働日の8割以上を出勤した労働者に対
して、10日の有休を与えなければならない。

②以降、同じルールにより
1年6ヵ月で11日
2年6ヶ月で12日
3年6ヵ月で14日
4年6ヵ月で16日
5年6ヵ月で18日
6年6ヵ月以上で20日
の有休を与えなければならない。

③各期間において8割未満の出勤率だった場合は、その期間の有休は与えなくて
もよい

④いったん発生した有休の取得時効は2年。


以上が最低ルールとなります。



【出勤率8割をカウントする際のルール】
労災による休業、産前産後の休暇、育児・介護休業期間、有休当日は出勤したも
のとしてカウントしなければならない


これらの休暇を出勤していないとみなすと、その休暇取得を邪魔することになる
からです。




【パートタイマーにも有休を与えなければならないか】

パートタイマーやアルバイトについても有給休暇を与えなければなりません。た
だし、所定の労働時間や所定労働日数が少ない労働者については、正社員よりも
少なく有休付与をしても構わないことになっています(これを年次有給休暇の比
例付与といいます)。


【時季指定権と時季変更権】
有給休暇については、
①労働者に「時季指定権」:好きなときに取る権利
があり、同時に
②会社に「時季変更権」:営業に支障を来す場合は、別の時期に取るように労働
者にいう権利
があります。
そのどちらが優先するかについてはケースバイケースですが、予め繁忙期などが
決まっている場合は、「年次有給休暇の計画的付与のための労使協定」を結んで
労使で取得時期について合意するなどの対策をするとよいでしょう。

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